都庁が欲しがる人材

 前回、敵を知ることが重要という話をしましたが、とはいっても何をすればよいの?と疑問を持たれると思います。

 今回は、面接試験のすべての基本となる、「都庁はどのような人材を欲しがっているのか」という点について解説していきます!

 面接試験を受ける方は、都庁が欲しがっている人材を演じましょう(笑)

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都庁が必要とする人とは?

 他の記事で解説しましたが、次の4つの特徴を持つ人が、都庁に向いているといえます。

  1. 「公平性」・「公正性」を遵守できる人
  2. 割り切れる人
  3. コミュニケーションの得意な人
  4. バランス感覚のよい人

都庁に向いている人の詳細はこちら

 これはすべて職員として重要な要素なのですが、都庁の面接官が最もチェックしていることは、これのうち

「バランス感覚のよい人」であること

です。言い換えれば、「何でも卒なくこなせる人」ともいえます。これは断言できます。都庁のどの局、どの部署においても、「何でも卒なくこなせる人」は本当に貴重な存在です。ポイントは、何でも「完璧にこなせる」ではなく、「卒なくこなせる」程度でよいということです。

 都庁に限らず、公務員の仕事は本当に幅広いです。事務仕事の総本山である総務局・財務局と、ハード整備をメイン業務にする都市整備局・建設局、そして文化事業等を担当する産業労業局・生活文化局を比べると、業務の内容は全く異なります。民間会社で例えるなら、完全に別業種の会社といってもよいレベルでしょう。

 そして都庁の人事異動は4月1日に一律で行われるため、3月31日までは建設局で道路工事の発注業務に従事していたのに、4月1日からは生活文化局でイベントの企画を担当することになる、なんてことも普通です。同じ局内の異動だったとしても、例えば道路工事の発注業務から、部所の予算担当へ異動した場合、それまでの経験がほとんど活かせないこともあります。

 異動した職員や新規採用職員に求められるのは、新しい職場の業務に、できるだけ速やかに対応できるようになることです。極論を言ってしまえば、幅広い業務に素早く対応できる職員は優秀な職員で、中々対応できない職員は使い辛い職員と思われてしまいます。そして、ここでいう対応できるとは、100点の成果を出すことではありません。慣れていない状態でどんな仕事を任せられても、安定して70点程度の合格点を取れる人のことです。

 もちろん、すべて100点を取れればそれに越したことはありませんが、あまりにも仕事の内容が多岐に渡るため、すべて100点を取ることは不可能に近いです。筆者も10年間近く勤務しましたが、オール100点を取れるような職員を見たことがありません。

 得意な分野では100点を取れるが、苦手な分野では50点しか取れない人は、配属先が自分の得意分野でなかった場合、力を発揮できないことが多いです。一方、何をやらせても70点を取ってくる職員は、どこの職場でも十分に活躍できます。

 異動が前提となる公務員の世界においては、様々な面においてバランス感覚のある人が、最も重宝されるのです

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エースとなる職員がほしい?

 都庁において理想の職員は、上記のとおり、様々な面においてバランス感覚のある人です。それを前提に、面接官が実際に、どんな人を採用したいと思っているのかを見ていきましょう。

 都庁を目指す学生や社会人の方の一般的なイメージでは、次のような人が都庁に採用されると考えられているのではないでしょうか。

  • 仕事のできる人
  • コミュニケーション能力の高い人
  • やる気のある人
  • 指示待ちではなく自主的に動ける人
  • リーダーシップのある人
  • 都政に対して熱い思いのある人
  • 縁の下の力持ちになれること

どうでしょうか?「そりゃそうだろうな」と感じると思います。そして、こういう特徴のある人を都庁が欲しがること自体は間違っていません。しかし、実際に都庁という組織で長年働いた筆者からすると、上の特徴は「あったら望ましい」ものですが、採用する上で必須の条件とは思いません。

 確かに上の特徴をすべて(大体)満たしている人は、入都後、非常に優秀な職員となるでしょう。卒なく70点どころか、卒なく90点を取ってくるかもしれません。職場にいたら、エース級職員と評価され、出世していくことは確実です。

 しかし、現実的に、採用面接の時点でこの特徴をすべて(大体)満たしている人は、面接を受ける受験者全体の1割もいないのではないでしょうか。その1割の人は、特にアドバイスが無くても面接を難なく突破すると思いますので、ここではその他9割の方に有益な事をお伝えしたいと思います。当然、筆者もその他9割でした(笑)

 面接官も、採用できるならばもちろんエースを積極的に取りたいと思っています。しかし現実的な面を踏まえると、面接官は、エースとはいえないまでも、なるべくバランスのよい職員を採用したいと考えているのです。

 余談ですが、公務員の教養択一試験は、非常に広い範囲の中から、効率よく勉強してバランスよく点数を取れる人を選別するためのものだと筆者は思っています。

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面接試験の本当の目的は?

 まず重要なことは、都庁に限らず公務員試験の面接は、「優秀な人材を選別すること」ではなく、「組織に合わない人を採らないこと」に重点が置かれているということです。

 これは、公務員試験の面接の性質からも明らかです。例えば、500人が受けて50人が合格するような民間企業の面接試験でしたら、その役割は間違いなく10人に1人の逸材を選別することでしょう。

 しかし、以前の記事で解説したとおり、都庁の面接試験の合格率はおよそ4割~5割です。半分近くの受験生が突破することを考えるならば、面接の目的は、「優秀な人材を選別すること」ではなく、必然的に「組織に合わない人を採らないこと」になります。

 上で述べましたが、面接で優秀な人材が見つかれば積極的に採用されます。しかし、現実的な面接官のモチベーションは、優秀な人材を選別することより、採用したくない人をいかに見極めるか、に置かれているのです。

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面接官が見極めたい3つのポイント

 それでは、どんな人が「採用したくない人」と思われてしまうのでしょうか?

 面接官が絶対に見極めたいと考えていることは、次の3点です。

  1. 採用後、すぐに辞めてしまわないか
  2. メンタルダウンして、休職に入ってしまわないか
  3. 上司・同僚に迷惑をかけそうな要素がないか

 面接官が絶対に見極めたいと考えている上の要素は、すべてマイナスの要素です。そして、このマイナスの要素を持っていない人こそ、都庁職員としてのスタート地点に立てる人材だと言えます。

 仕事ができることは確かに重要ですが、上記3つの要素を持っている人は、いくら仕事ができたとしても面接官は絶対に欲しいとは思いません。つまり、この3つの要素を一つでも持っている、又は持っていると面接官に感じられてしまったら、どんなに優秀であっても、特殊なスキルを持っていたとしても、その時点で不合格が確定してしまいます。

 では、なぜこの3つのポイントなのでしょうか?この3つを挙げた理由について、次回から解説していきます。

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