配属面談の攻略法

 無事都庁に合格した後、配属が決定するまでは、何となく落ち着かないものです。

 「都庁に入ったのだから、最初から本庁で働きたい」と考えている方がいる一方、特に転職者の方の中には、「前職が忙しかったから、出先事務所でのんびり働きたいな」と考えている方もいらっしゃると思います。

 今回は、そんな受験生の運命を決定する、配属面談の攻略法について具体的に解説していきます。他ではあまり聞くことのできない情報を提供できると思いますので、最後までお付き合いいただけると幸いです!

 なお、8月に実施される採用面談については、都庁採用試験の順位と配属局の関係をご参照下さい。

スポンサーリンク

1 はじめに

 以前、採用順位と配属局の関係の記事で、採用順位と配属局の間に相関性はない旨の解説をしました。

 すると、「確かに配属局に採用順位は関係ないかもしれないけど、上位合格しないと本庁配属はされないんじゃないの?」という疑問を持たれる方も多いと思います。

 詳細は後述しますが、先に結論を言ってしまうと、本庁配属か出先事務所配属かについても採用順位は一切関係ありません。合格者の配属先は、採用面談(例年合格発表後の8月に実施)の結果を元に人事委員会が配属局を決定した後、各配属局において具体的な配属部署の決定がされます。「配属局」と「配属部署」という二段階で、実際の職場(配属先)が決定するということです。

 つまり、「本庁か出先事務所か?」「激務の部署か定時で帰れる部署か?」を具体的に決定するのは、人事委員会が振り分けた後の各配属局ということになります。

 そして、各局が合格者の配属を決定するために実施するのが、配属面談です。

スポンサーリンク

2 配属面談とは?

 配属面談とは、例年2月~3月頃に各配属局が開催する、合格者向けの面談です。

 受験生は8月の採用面談が終わった後、入都までの間、基本的に都庁と関わる機会はありません。そんな中、2月~3月初旬頃になると、都庁から突然次のような電話がかかってきます。

 「東京都〇〇局の□□と申しますが、△△さんのご連絡先でよろしいでしょうか?

 〇〇には、合格者が配属される局名が入ります。その際、〇〇局への配属が決定した旨と配属面談の日程が伝えられます。

 配属面談は2月中頃から3月初旬に行われる場合が多いようですが、各局によって結構バラバラだったりします。合格時の配布書類に、2月~3月は連絡を取れる状態にしておくことの念押しがされるのですが、この配属面談の連絡のためです。長期で旅行に行く際には、事前に不在の届け出をするように指示されます。

 やむを得ない理由(卒論の発表日・社会人は、外せない仕事等)がある場合、日程を変更してもらうことも可能です。知り合いの人事経験者は、「面談日程の変更は面倒くさいからやめてほしい」とは言っていましたが、日程の変更によって評価が下がったり、配属部署が変わるようなことはないと話をしていました。裏話です(笑)

 とは言え、面談の前からあえて印象を悪くする必要もないので、日程調整ができるようなら極力配属面談を優先しましょう

 そんな配属面談ですが、どのように行われ、何を聞かれるのでしょうか?

スポンサーリンク

3 配属面談で聞かれること

 面談を実施する局によって異なりますが、通常は一つの時間帯(例えば、2月20日:14時~等)に数人~十数人が指定され、一人ずつ面接がされます。面接官は、配属局の人事担当者が勤めます。

 主税局や教育庁のような大規模局はそもそもの配属者数が多いため、数週間にわたり面談が続くそうです。

 面接は15分程度の場合が多く、実際に働くにあたって留意してほしいこと等が聞かれます。具体的には、次のような感じです。

  • 〇〇局に決まってどう思ったか?
  • 局のどんな仕事に興味があるか?
  • 局の中でどんな仕事がしたいか?
  • 本庁と出先事務所のどちらがよいか?
  • 残業が多い部署でも体力的に大丈夫か?
  • 何か持病はあるか?
  • 残業ができない事情(育児・介護等)はあるか?
  • 勤務地に希望はあるか?
  • 活かせるスキルはあるか?
  • 得意なことは?
  • 苦手なことは?
  • その他、何か配慮してほしいことはあるか?

 配属面談は、実際にその人の配属先=働く職場を決定するためのものです。なので、採用試験時のように「都庁を志望した理由」や「学生時代頑張ったこと」と言った、実務に関係ない事柄について聞かれることは少ないです。

 なお、この段階で合格が取り消されることはありえませんし、「こんなヤバい奴はうちの局に要らない」と配属局からお断りされることもありえません(笑)ので、リラックスして臨んでも問題ありません。

 しかし、この配属面談が、合格者の最初の運命を決定する重要な面談になりますので、配属先に希望がある場合は、十分に留意した上で臨むべきです。

スポンサーリンク

4 配属面談の攻略法

 上で述べたとおり、配属面談は最初の配属を決定する上で極めて重要です。そして、8月の採用面談以上に、配属面談において人事担当者は内定者をしっかりとチェックしています。

 というのも、人事委員会は採用面談を参考に合格者をどこの局に配属するかを決定していますが、自分たちが一緒に働くわけでもないですし、問題のある合格者をある局に配属したとしてもその局から恨まれることはありません。各局からしたら、「変な職員を引いちゃったな」と残念がる程度です。

 しかし、配属面談はそうはいきません。問題児をある部署に配属してしまった場合、その配属先から人事担当者に苦情がくることもあります。また、持病があり体力的に不利な職員を激務の職場に配属してしまい、配属先で潰れてしまったならば、局の業務に支障が生じます。不適切な配属をしてしまった場合に、局にリアルなダメージが生じるのです。

 言い方は乱暴かもしれませんが、8月の採用面談が「他人事」なのに対し、配属面談は「自分事」なのです。このような特性を持つため、配属局の人事担当者は、配属予定者の特性を可能な限り見抜きたいと考えています。

 このような現実を踏まえれば、配属面談で採用順位が考慮されないこともご理解いただけると思います。どんなに採用順位が高かったとしても、体力・精神的に問題ある内定者を本庁の忙しい部署に配属してしまったら、皆が不幸になるからです。

※余談ですが、過去には配属に際し採用順位が考慮されていた時代もあったようです。しかし、数十年昔の話であるため、現在ではこのような慣習は残っていません。

4-1 面接官がチェックしている点

 このように、基本的に配属面談での面接官は、局の事業を停滞させないためにも内定者をその人にふさわしい職場に配属したいと考えています。「内定者が何の仕事をしたがっているか?」という視点ではなく(ゼロとは言いませんが)、「この人はどの職場が向いているか?」「どの職場は合わなさそうか?」という現実的な視点からチェックしているのです。

 つまり、本庁に行きたい場合、「自分は本庁の業務に対応できる人間だ」「精神的・体力的にも問題ない」という印象を面接官に与える必要があるのです。本庁じゃなくても忙しい部署(花形部署の場合が多い)に配属されたければ、とにかく体力・気力に自信があることをアピールするべきです。

 反対に、残業がどうしても嫌ならば、体力に自信がないことをそれとなく必要があるのです。と言っても、面接で「残業が多い部署もありますが大丈夫ですか?」と質問された場合に、「体力的に残業は厳しいのでご配慮いただけると助かります」と答える強メンタルの内定者は殆どいないでしょう(笑)

 しかし、例えば前職が忙しすぎて体調を崩した転職組の方で入都後どうしても残業をしたくない場合には、ソフトな言い方でも良いので、体力的に自信がない旨を面接官に伝えるべきです。そうしないと、忙しい部署に配属される可能性が高まります。なお、「体力にはあまり自身がない」とはっきりと伝えたのに、「うん、君なら大丈夫だよ!」と激務な部署に配属されてしまう職員もいますので、その際は諦めましょう(笑)

 また、面接官は面接での受け答え内容だけでなく、受け答えの姿勢などもチェックしています。口先で立派な事を答えていても、受け答えのテンポが悪かったり、おどおどしていたり、面接官の発言をあまり聞いていなかった場合などには、「本庁業務には耐えられなさそうだから、まずは出先事務所配属にしよう」と印象を持たれる可能性が高いです。

 ここまで解説しておいて言うのも何ですが、結局のところ面接官はその人の人間性全般をチェックしているので、取り繕うことは難しいかもしれません(笑) とはいえ、落ち着いて余裕のある印象を与えることができれば、社会人経験のない新卒者の方でも本庁配属スタートは可能です。実際に、22歳の新卒ストレート職員で、最初の配属が本庁の職員も多いです。

4-2 本庁配属者の特徴

 では、どんなタイプの方が本庁配属されるのでしょうか?筆者がこれまでに見てきた職員を振り返ると、主に次の要素を満たす方が本庁に配属されやすいように感じられます。

  • 落ち着いている
  • 心身共に健康
  • コミュニケーション能力が高い

 局や部署によっても大きく異なりますが、本庁業務は難しい調整を必要とするものが多く、出先事務所の業務に比べて難題である場合が多いです。なので、こういった業務にも対応できそうな下地のある新人が配置されます。

 なお、本庁でも単純作業のみの部署もありますし、出先事務所でも非常に難航な業務を担当している部署もありますので、本庁業務は出先業務より大変と一概には言えません。

 ちなみに、局によっては、新人は例外なく出先事務所配属と決めている局もあります。例えば主税局の場合、新人は前職の有無に関係なく、一斉に都税事務所スタートとしているそうです。

4-3 出先事務所配属者の特徴

 では、出先事務所に配属されるのはどのようなタイプでしょうか? 端的に言ってしまえば、「本庁配属者以外の人」です。

 新卒ストレートの学生に比べて、前職ありの方が最初から本庁配属になるケースが多い理由がここにあります。前職ありの方は、社会人経験を踏まえているため、上で述べた本庁配属を満たす要素を持っている場合が多いからです。もちろん、どうしようもない社会人経験者も存在していますので、一概には言えませんが(笑)

 一方、筆者自身もそうだったのですが、学生は社会経験が不十分である場合が多いと思います。そのような学生は、出先事務所でしっかりと社会人の基礎を作らせてから、数年後に本庁に異動させる場合が多いのです。

スポンサーリンク

5 まとめ

 今回は、あまり受験生の方に知られていない配属面談の重要性と攻略法について解説してきました。

 採用面談とは違い、配属面談の結果は4月1日からの勤務先に直接影響しますので、十分に留意して臨みましょう。

 最初から本庁配属されたいのならば、落ち着いている・心身共に健康・コミュニケーション能力が高い、という印象を面接官に与えることができると有利です。

 反対に、口先だけ立派な意識高い系であるとか、学生気分が抜けていないと思われてしまったら、「とりあえず出先事務所で修行してこい」と出先事務所に配属される可能性が高くなります。

 4月からの配属に悔いが残らないように、しっかりとイメージトレーニングした上で臨みましょう。読者の皆さまが希望している部署に配属されることをお祈りしています。  

コメント

  1. […] ※配属部署の決定の詳細については、配属面談の攻略法で解説しております。 […]