今回から、都庁採用試験の面接について解説していきます。面接試験の具体的イメージを掴んで無事採用試験を突破できるよう、有益な情報を提供していきたいと思いますので、お付き合いいただけると幸いです。
筆者自身の経験に加え、若手職員の体験談、採用試験面接官経験者から聞いた情報等、守秘義務に抵触しない程度に紹介していきます(笑)
面接試験は「超」重要
まず最初に一言。都庁採用試験において、面接試験(二次試験)は超重要です。
もう一度言います。「超」重要です(笑)
都庁を本気で目指す大学生や社会人の方のほとんどは、筆記試験(一次試験)は十分に準備をしてきます。別の記事でも解説したとおり、特に多くの大学学部生が受ける1類B一般方式(筆者もこれで受けました)では、9~18か月程度かけて筆記試験対策をする人が全体の半数程度います。1年半以上(熱心な人は大学入学直後から)勉強する人も、それほど珍しくありません。
それと比較すると、面接対策を本気で行っている人は、合格者の中でもあまり多くないです。おそらく、「どう対策してよいかわからない」「ハキハキ答えれば大丈夫」「対策本読んでれば十分でしょ」という感じの人が多いのではないでしょうか。
もちろん、公務員試験予備校に通っている人の中には、個別指導や模擬面接などでがっつり面接対策を行っている人もいます。しかし、筆者の周りを見た感じでも、独学組や仕事の都合で予備校に通えない社会人転職組は、面接対策が不十分となっている場合がほとんどです。これは予備校に通っていても、web講義のみを受講していて、面接対策を受講していない方にも当てはまります。
しかし、採用試験において面接を軽視することは、それだけで不合格に直結します。あんなに頑張って一次試験を突破したのに、面接で涙を飲む受験生が後を絶ちません。それは、面接試験の合格率を見れば明らかです。
都庁採用試験の最終合格率は?
まずは、都庁採用試験の最終合格率を見てみましょう。 以下、特に断りのない場合は、最も受験者数の多い1類B一般方式をベースに解説していきます。ただ、1類A方式であれ、1類B新方式であれ、面接の重要性とその中身についてはほとんど変わらないので、1類B一般方式以外の人も参考にできると思います。
都庁1類B一般方式の直近過去3年の、面接試験受験者に対する最終合格率は次のとおりです。
- 平成31年度
- 面接試験受験者数797人
- 最終合格者403人
- 合格率≒50・6%
- 平成30年度
- 面接試験受験者数1,020人
- 最終合格者421人
- 合格率≒41・2%
- 平成29年度
- 面接試験受験者数1,093人
- 最終合格者439人
- 合格率≒40・2%
昨年度の平成31年度(令和元年度)は、面接受験者のうち半分を超える方が最終合格しましたが、例年は4割少しというケースが多いです。倍率でいうと2.5倍程度です。つまり、一次試験を頑張って突破しても、半数以上の方が最終発表で落とされてしまうのです。
あんなに頑張って一次試験を突破したのに、最終発表で落とされてしまう。しかもその理由が、対策をすれば絶対に通過するはずの面接の対策不足だったとしたら、本当に悔やまれませんか?
筆記試験でのカバーは不可能?
都庁採用試験の最終合格は、教養択一試験・専門記述試験・教養論文試験・面接試験の総合点で判断されるため、二次試験(面接試験)の良し悪しのみで合否は決まりません。しかし、「面接は苦手だから、一次試験で良い点を稼いで、面接分をカバーしよう!」という事はかなり厳しく、現実的には不可能に近いです。
その理由は、採用試験の配点にあります。都庁を目指している受験生の方はご存知だと思いますが、都庁採用試験の配点は公表されていません。次回の記事で、若手職員や受験生から筆者が集めたデータに基づいて具体的に配点を分析していきますが、今回はもう少し広い視点から、配点基準を推測してみます。
都庁採用試験の配点は?
今後の記事で詳細に解説する予定ですが、都庁が欲しがる人材は、「筆記試験で良い点を取れる人」ではありません。筆記試験の成績と、仕事ができるかどうか、にはほとんど相関性がないからです。ちなみに、採用試験の順位と最初の配属局・配属部署も、全く関係ありません。
都庁という組織が必要としているのは、「都庁職員として円滑に仕事をすることのできる人」です。筆記試験が満点に近かったとしても、いざ面接で「この人ヤバそうだな」と面接官に思われてしまう人は絶対に採用されません(笑)そして、一次試験を一日で実施、二次試験を一日で実施と、1類B一般方式の試験の日程自体が二日間しかありません。面接試験に二日間の内の一日を割いているのに、面接試験の配点が筆記試験に比べて相対的に低いということは考えづらいでしょう。
また、都庁1類B一般方式に相当する職種で、近隣自治体で配点を公表しているものを見てみると、
- 埼玉県上級(一般行政)
- 一次試験
- 教養試験 100点
- 専門試験 100点
- 二次試験
- 論文試験 100点
- 人物試験 400点
- 合計 700点(面接比率400/700)
- 一次試験
- 千葉県上級(一般行政A)
- 一次試験
- 教養試験 100点
- 専門試験 100点
- 二次試験
- 論文試験 100点
- 面接試験(個別+集団討論)400点
- 合計700点(面接比率400/700)
- 一次試験
- 神奈川県一種試験(行政)
- 一次試験
- 教養試験 100点
- 専門試験 100点
- 二次試験
- 教養論文 50点
- グループワーク50点
- 個別面接(一次) 50点
- 個別面接(二次)200点
- 合計 550点(面接比率250/550※グループワークを面接の一環と考えると、300/550)
- 一次試験
※正確な情報は各県の採用HP等でご確認下さい。
このように、近隣自治体(埼玉県、千葉県、神奈川県)における面接試験の配点は、それぞれの採用試験全体の配点の50%を超えています。各自治体においてそれぞれ採用試験の特徴は異なるでしょうが、地方公務員の行政職という共通点がある以上、採用したい人材にそれほど大きい差があるとも思えません。
以上のことを踏まえると、都庁における面接試験の配点も、採用試験全体配点の50~60%であると考えるのが妥当でしょう。それでは、都庁採用試験の実際の配点はどのようになっていると考えられるでしょうか?
次回、筆者が集めたデータを元に具体的に解説していきます。
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