「都庁の採用試験って、独学でも突破できるの?」「やっぱり予備校に行かないと難しいのかな?」
都庁受験を考えている方の中には、こんな疑問を持っている方も多いと思います。
今回は、都庁合格に予備校は必要か?それとも独学で突破できるのか?について、合格者のデータを踏まえて解説していきます。
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1 はじめに
都庁受験に向けて、すでに予備校に通っている(web講義を受けている)方、又は独学で頑張っている方も多いと思います。
一方で、これから勉強を開始しようという方の中には、「予備校に通うか?」「独学で頑張るか?」で迷っている方も多いのではないでしょうか。
都庁を目指そうとする人にとって、予備校に通うかどうかは、最大の悩みの一つだと思います。
都庁の専門試験は、他の自治体と異なり独自の記述式があるため、独学での対策が難しいのは間違いありません。
とはいっても、「予備校は高いし、通っても受かる保証はないし…」又は「予備校に通わなくても受かるなら、高い金額を払って通いたくないな」と、ためらう気持ちも理解できます。
今回の記事は、皆さまが予備校に通うか否かを決める際の一つの判断材料となると思いますので、お付き合いいただけると幸いです。
まずは、試験に合格して実際に働いている都庁職員の予備校の利用状況について見てみましょう。
※今回の記事は、主に1類B一般方式の受験を考えている方に向けて記載していますので、ご了承下さい。
2 都庁職員の予備校利用状況
都庁試験の勉強をいつからするか?の記事でも紹介しましたが、都庁には「都庁ナビゲータ制度」という、若手職員による受験生に対する相談制度があります。その都庁ナビゲータの紹介HP(下記参照)で、ナビゲータを務める若手職員の予備校利用歴が公表されています。
※http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/talk/(都庁ナビゲータHP)
この結果を見ると、事務系職員のうち、63%が予備校を利用していて、37%が予備校を利用していないことがわかります。
しかし、都庁試験の勉強をいつからするか?で解説したとおり、近年の都庁ナビゲータは、1類B新方式で入都した職員の割合が増えてきているため、この数値はあまり参考になりません。1類B新方式はそもそも社会人転職者を対象としていて、試験科目に専門記述・教養論文がないなど、予備校に通う必要性が激減するからです。
では、現在では公表されていない、2~3年前のナビゲータの勉強期間を見てみましょう。
2~3年前の同HPでは、事務系職員のうち、81%が予備校を利用していて、19%が予備校を利用していないと掲載されていました。このデータは、ナビゲータの内、1類B一般方式の職員の割合が比較的高かった時代のものです。このデータから見ると、都庁に合格した若手職員の8割は、予備校を利用しています。
すると、2割は完全に独学か?と思われるかもしれませんが、そうとも言えません。例えば、筆者は予備校を利用していませんが、筆者の大学では公務員試験向けのゼミがあり、先輩からテキストや過去問を貰えるなど勉強をする環境が十分に整っていました。つまり、予備校に通う必要性があまり無かったのです。
同期や後輩の話を聞いても、大学のゼミや勉強会サークルに入っていた人も多く、そういった人達は、予備校に通っていなかったとしても完全な独学とは分けて考えるべきでしょう。
そのような人も考慮すると、体感的には、1類B一般方式を完全な独学で合格した人は全体の1割程度だと思います。
このことからも、完全な独学で都庁試験に合格できる人は、かなりの少数派であることは間違いなさそうです。
3 予備校を利用するべき理由
では、都庁に合格するには、予備校に通うべきなのでしょうか? 結論から述べると、通えるなら通うべきだと思います。
もちろん、これもその人が置かれている状況によります。
例えば、勉強開始時に教養択一試験で25点以上を取れていて、大学の法学部・経済学部で専門試験の基礎知識が備わっている人は、予備校を利用しなくても合格できる可能性は十分にあります。
反対に、教養試験で17~18点程度しか取れず、また大学で一切専門試験の勉強をしたことのない人などは、予備校に利用せずに合格することは厳しいでしょう。
「そうは言っても、予備校は高いし…」と躊躇する方も多いと思います。しかし、お金の面で考えるならば、自分への投資という意味で、予備校には絶対に通うべきだと筆者は考えています。それはなぜでしょうか?
予備校にも様々なタイプがありますが、都庁受験向けの講座を受講してかかる料金は総額で30~50万円程度である場合が多いと思います。
一方で、大学4年生が都庁に合格して次の年に入都すると、初年度の年収は大体350万円~400万円です(残業時間によって大きく変わりますが、ほとんどの人がこの枠に入ります)。詳細は都庁職員の年収でも解説しておりますが、仮に受験に失敗し、1年間の公務員試験浪人生活を送るとすると、この年収を得られなくなります。
より正確な話をすれば、1年間遅れて入都をすると、定年退職までに働くことのできる年数が1年短くなります。例えば、23歳で入都した人が37年分の年収を得られるのに対し、1年浪人をして24歳で入都した場合、36年分の年収しか得ることができません。
そして、23歳で入都しても24歳で入都しても、都庁の給料システム上初任給は完全に同額です。つまり、24歳で入都した人は、23歳で入都した人に比べ、定年退職直前の1年分の年収が得られないことになります。
仮に出世して部長クラスにいるとしたら、1200~1300万円程度、課長クラスで1000~1100万円程度、出世をせずに、堅実に課長代理(係長)クラスで定年を迎えたとしても、約800万円程度の年収を得ることができなくなります。現在30~50万円の投資をすれば、最低800万円のリターンが得られる、そう考えると、お金の許す限り、予備校には通うべきだと思います。
もちろん、予備校に通っても絶対に合格するわけでもありません。しかし、合格確率が上がるならば、予備校に投資する価値は十分にあります。単純計算で20倍を超える高配当ですから(笑)
それに30~50万円の投資金額など、合格してしまえば1年目のボーナスで返還することができます。就職浪人をするよりも、遥かにメリットがあります。
※既に就職している社会人の方にとっては、入都時にこれまでの経歴分が給料上加算されますので、この理論は単純には当てはまりません。
3-1 予備校のメリット・デメリット
と、筆者は予備校の利用を薦めておりますが、予備校を利用する具体的なメリットはなんでしょうか?
一般的には、次のメリットがあります。
- 勉強方法を教えてくれる
- 専門記述用のテキストが手に入る
- 論文の添削をしてもらえる
- 勉強ペースが掴める
- わからない部分の質問ができる
- 仲間と情報交換ができる
- 面接対策ができる
この中でも最大のメリットは、「専門記述用のテキストが手に入ること」です。
都庁の記述対策の参考書は、市販の物は種類が多くなく、そもそも内容も十分とは言えないのが現状です。都庁対策に特化した予備校のテキストを利用するのが最も効率がよく、かつ合格への近道であることは間違いありません。
また、「教養論文の添削をしてもらえること」も大きなメリットです。教養論文は自分で採点することが極めて難しいため、専門の教師に指導してもらう方が、論文スキルが確実に上がると思います。
一方、予備校を利用するデメリットはなんでしょうか?
正直なところあまり思いつかないのですが、次のような感じでしょうか。
- お金がかかる
- 授業時間が決められていて、時間の制約が大きい
- 予備校に通っているだけで勉強した気になってしまう
授業時間については、web講義等を利用すれば、時間の制約を感じることは少ないでしょう。また、三つ目の理由は、予備校のデメリットではなく、その人自身の問題だと思います(笑)
予備校は利用方法を間違えなければ、お金以外のデメリットは全く存在しないと筆者は考えています。そして、予備校は大手であれば、どこでも大差ないと思います。「〇〇予備校の書いた専門記述の模範解答では合格できない」というレベルのテキストを大手予備校が用意するとも思えませんので。
とにもかくにも、実際にテキストを使用して勉強する本人のやる気次第になります。
3-2 独学のメリット・デメリット
それでは、独学のメリットはなんでしょうか? 正直、「お金がかからない」以外のメリットはないと思います。余程の天才でない限り、大手予備校が長年のデータを蓄積して作成したテキスト・ノウハウ以上の物を自分で編み出すことは不可能でしょう。
また、面接対策にしても、膨大なデータを有している予備校の模擬面接を受けることが、本番への準備としては極めて有用だと思います。
「都庁に絶対に合格したい!」と考えているならば、予備校を利用した方が確実に合格の可能性が上がると思います。なお、上で述べた通り、予備校のテキスト・ノウハウが手に入る状況にあるのであれば、必ずしも予備校に通う必要はないと思います。実際、筆者自身も予備校には通っていませんでした。ただし、テキストの使いまわしは違法行為になり得ますので、十分に留意して下さい(笑)
4 予備校の正しい使い方
予備校を利用するとして、どのように利用すべきでしょうか?これを間違えると、むしろ逆効果になることもあるので十分に注意しましょう。
例えば、勉強開始前から教養試験で25点以上を取れる人が、予備校の教養対策講義に毎回出席することは、はっきり言って時間の無駄だと思います。その時間を専門記述や教養論文対策に充てるべきです。
また、法学部で憲法をしっかり勉強している人が、憲法の基礎講義に出るようなことも効果は薄いでしょう。憲法の基礎が十分に理解できている人は、専門記述の論文の答えを覚えることに集中した方が効率はよいです。
一方、教養試験の点数も不十分で、専門試験の勉強をしたことがない人は、講義にしっかりと出席することで知識が増えていきます。
このように、予備校を正しく利用するためには、「自分はどのレベルにあるか」ということを常に意識する必要があります。自分のレベルを常に意識し、「何のためにこの講義を受けるか?」という目的を明確にした上で予備校を利用しましょう。これを考えずに漫然と授業を受けていても、時間の無駄になってしまいます。
個人的には、スマホやパソコンで受ける配信講座で十分だと思いますが、通わないとやる気が出ないタイプの方は通った方がいいと思います。
真面目な人ほど授業をサボることに抵抗のある人もいるかもしれませんが、「自分にとって何が必要か?」ということを常に意識して、効率的に予備校を利用しましょう。
5 まとめ
今回は、都庁受験に予備校を利用するメリットについて解説してきました。仮に、「1回落ちても次年度に絶対リベンジする」くらいのモチベーションがあるならば、多少お金を投資してでも予備校に通い、一発で合格する可能性を上げた方が将来の収入的にも絶対に得です。
繰り返しになりますが、予備校のテキストやノウハウが手に入る状況にあるのであれば、必ずしも予備校に通う必要はないと思います。
反対に、周りに都庁を目指している人がいない場合など、情報が得辛い状況にいる方は、予備校に通うことで合格率は確実に上がるでしょう。
そして、予備校を利用する際には、常に目的と現在の自分の実力を意識しましょう。予備校に通っているだけで勉強した気になる人の合格率が極めて低くなることは、言わずもがなです(笑)
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