前回は、職場に求められる人材を踏まえて、面接試験で何が重視されるかについて解説しました。
今回は、面接官が見極めたい3つのポイントについて、その理由を具体的に解説していきます!
すぐに辞めてしまいそう?
最近では筆者を含め、公務員から転職する人も増えていますが、まだまだ公務員を辞めて外部に転職しようとする人は少数派です。辞めたいというと、職場から絶対に驚かれます。
そういった背景から、都庁のどこの職場も、年度の途中で職員が辞めてしまうことを全く想定していません。
ちなみに、某大手自動車会社に勤めていた筆者の友人は、筆者とは逆に民間から公務員へ転職をしましたが、その会社の同じ部所から1年で3人目の転職だったらしく、上司に「君もか」と言われたそうです(笑)
もちろん転職者がほとんど出ない業種もあるでしょうが、一般的に公務員は民間会社に比べて途中で職員に辞められることを全く想定していないため、辞められた時の組織的な体制も不十分な場合が多いです。
※余談ですが、公務員には失業保険がありません。
このような状況で年度途中で職員に辞められてしまうと、その人の業務はすべて課内で配分しなければならなくなります。都庁ではどの職場も基本的に人材不足なため、辞めてしまった人の補充を年度途中ですることはできません。
また、都庁では残業が恒常化している部所も多いため、そのような多忙な職場で退職者が出ることは、残された他の職員にとって死を意味します(笑)
一人辞めてしまうと、他の職員の残業時間が月30時間程度増えることはよくあります。ただでさえ残業が多いのに、ある月からプラス30時間になってしまうのは本当に辛いでしょう。
さらに、これは裏話ですが、辞める人が少ない環境だからこそ、職場から退職者が出てしまうことは、課の責任者である課長の評価、さらにはその上司である部長の評価にも影響します。民間企業にも増して、部下をしっかり管理できていなかったのか?という印象を受けてしまいます。
このような理由から、都庁の職場はすぐに辞めてしまいそうな人を絶対に欲しがりません。
メンタルダウンしてしまいそう?
メンタルダウンをして病気休職に入ってしまうと、その人の席が空いてしまうため、その人の担当業務については、年度途中で職員が辞めてしまったのと同じ状況になります。
そういった意味では辞められるたら困るという上の理由と同じなのですが、メンタルダウンにはもう少し複雑な事情があるため、すぐに辞めてしまいそうな人よりも職場では更に警戒されることになります。
都庁外部の方にはあまり知られていないと思いますが、都庁の職場ではメンタルダウンで病気休職に入ってしまう職員の数が非常に多いです。筆者も実際に勤めていて、「こんなに多いのか」とびっくりしました。一つの課(課にもよりますが、平均20~30人程度の職員が在籍)に、平均すると1人はいるかもしれません。
もちろん、本庁で政策立案を行う部署などでは心身ともにタフな人が多く、メンタルダウンしてしまう人は少ないですが、出先の事務所などでは、一つの課に2人以上休職者がいることも珍しくないです。
メンタルダウンの職員がいる職場では、課の責任者である課長の負担が非常に重くなります。ただでさえ忙しい管理職の業務に加えて、その職員に対する多大なケア業務が発生します。
もちろん、メンタルダウンさせてしまう職場にも問題があるのは間違いありませんが、職場に何ら問題がないのに、メンタルダウンしてしまう職員も多くいるのが現状です。課内の仕事もストップし、管理職にも多大な負担がかかるため、メンタルダウンしてしまいそうな人は採用時に絶対に見極めたいと考えています。
上司・同僚に迷惑をかけそう?
迷惑をかけそうな奴を採用するわけないだろ、と言われそうです(笑) 遅刻が多い・上司に暴言を吐く・仕事を押し付ける・同僚に意地悪をする・酒癖が悪く暴力を振るう…という迷惑行為は当然嫌がられますが、ここでは公務員の世界における迷惑とはどういうことか、について解説したいと思います。
公務員の世界における迷惑とは、「職場のパフォーマンスを落とすこと」です。そして公務員の世界では、職場のパフォーマンスは独特のバランスの上になりたっています。極論を言ってしまえば、非常に優秀な職員だったとしても、「出る杭」は周辺から迷惑がられることが多いということです。
公務員の世界では、他部署や上司、同僚との間の空気を読むことが求められます。リーダーシップがあり、積極的に政策の企画ができる職員であったとしても、独断で仕事を進めていったならば、仮にすばらしい企画をしたとしても、職場においては高確率で迷惑な職員と認定されます。成果を出すことより、周囲との調和が求められるのです。
この辺は、筆者自身働いていて少し疑問があったところです。個人的には、「優秀な人をもっと伸ばしてあげてもいいのに」と思ったことが多々あります。都庁の仕事の現実については、改めて解説したいと考えていますが、公務員の仕事は部署間での調整が非常に重要なため、独断で仕事を進めてしまう人は、何も仕事をしない人よりも敬遠されるという現実があります。
それでは、どのような人がこの3要素を持っていると思われてしまうのでしょうか?
次回からこの3要素について説明していきたいと思います。
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