都庁受験にあたって、年齢が高いことは不利になるのでしょうか?
逆に、大学新卒ストレートの22歳だと有利になるのでしょうか?
都庁受験を考えている大学院生や社会人転職組の方の中には、自分の年齢を気にしている方も多いと思います。実際の職員の中にも、「転職の際には、年齢が高いから受からないと思っていた」と当時を振り返って話をする職員もいます。
今回は、「都庁の採用試験の合否に年齢が関係するか?」について、具体的に解説していきます。
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1 採用試験の基本情報
都庁採用試験の主要な受験区分(経験者採用・2類を除く)は、令和2年現在、次のとおりとなっています。
1-1 採用試験の受験資格
- 1類A方式(大学院卒相当):平成元年4月2日~平成9年4月1日生まれの人
- 1類B一般方式(大学卒相当):平成3年4月2日~平成11年4月1日生まれの人
- 1類B新方式(若手転職者向け):平成3年4月2日~平成11年4月1日生まれの人
- 3類(高卒相当):平成11年4月2日~平成15年4月1日生まれの人
※2. と3. は受験日が同日で併願不可。
※2類は司書や栄養士等の専門職で事務職の受験枠がないため、本記事では省略しています。
わかりやすく年度末年齢で換算すると、受験資格は次のようになります。
- 1類A方式(大学院卒相当):満24歳~31歳
- 1類B一般方式(大学卒相当):満22歳~29歳
- 1類B新方式(若手転職者向け):満22歳~29歳
- 3類(高卒相当):満18歳~21歳
1類A方式は「大学院卒相当」とされており、筆記試験も大学院卒業レベルの問題が出題されますが、あくまで「相当」であるため、受験年齢を満たしていればどなたでも受験できます。大学院を卒業していない大卒者・高卒物でも、極端なことをいえば、高校中退者でも受験できます。
1-2 1類B一般方式と1類B新方式
1類B方式についても同様で、受験資格は「大卒相当」ですが、満22歳~29歳の中にいれば、どなたでも受験できます。
一方、1類B新方式は、社会人じゃなければ受験できないの?という質問をよく受けますが、年度末に満22歳になる現役大学4年生でも受験資格はあります。
しかし、1類B一般方式と1類B新方式は試験日が同日のため、併願することができません。そして、1類B新方式には専門試験がないため、勉強時間を確保しづらい社会人転職組が集中します。そのため新方式の倍率は一般方式より高めになります。
また、新方式は社会人転職組を積極的に採用するために設けられた比較的新しい受験枠であるため、職歴のある社会人を優遇する可能性が高いです。試験科目にあるプレゼンなどは、どうしても社会人の方が有利に働くでしょう。
このような理由から、勉強時間の確保しやすい現役大学生・大学院生は、ほとんどの人が一般方式で受験します。筆者自身、大卒ストレートで1類B新方式で入都してきた職員を見たことはありません。
1-3 1類B方式と1類A方式の併願はできるか?
1類B方式と1類A方式の併願はできるのか?という質問もよく受けるので、ここでお答えします。
募集要項にばっちり記載してありますが、受験日が異なるため、併願は可能です。そして、大学院生は1類B方式と1類A方式を併願をしているケースが多いです。
大学院生や社会人ではなくても、浪人や留年・休学をして大学4年時に満24歳に達しているならば、学部生でも1類A方式を受験することは可能です。しかし、試験のレベルが大学院卒を前提にしていることと、一般の公務員予備校では1類A方式向けの対策講座を開講していない(あったらすみません)ことから、現役大学生で1類A方式を突破する方は非常に少数だと思います。
筆者自身、大卒ストレートで1類A方式で入都してきた職員を見たことはありません。
2 入都職員の年齢層
特に社会人の方は気になる部分だと思いますが、実際、入都してくる職員の年齢層はどのようになっているでしょうか?
入都職員の年齢を表す資料やデータは公表されていないため、様々な職場で新入職員を迎えてきた筆者の体感を元に解説します。
2-1 やっぱり新卒ストレートが多い?
「なんだかんだ言っても、大卒ストレートの職員がほとんどなんでしょ?」と思われる方が多いと思います。受験年齢ギリギリで入都した筆者の先輩も、「30歳近いオジサンが入っても、同期と馴染めないよな」と考えていたそうです(笑)
では、実際の年齢層はどのようになっているでしょうか。
ここ数年の感覚としては、22~23歳位(大卒ストレート)の入都者は、新入職員全体の3割程度といった感じです。意外と少ないと思われるかもしれませんが、大卒フレッシュな職員は、近年では確実に少数派です。
ちなみに、女性は男性に比べ大卒ストレートの比率が明確に高く、感覚として4~5割程度が新卒ストレートです。
筆者が入都した頃は、大卒ストレートが男女共過半数を超えていました。近年の大卒ストレートの割合が減ったのは、民間の景気回復の影響で、最近の大学生の公務員志望者自体が減っていることに起因すると感じています。といっても、コロナ禍で景気の低迷が予想されるため、令和3年以降は再び大卒ストレート職員の比率が増えてくることが予想されます。
次に、24~25歳位(院卒ストレート)の入都者が、新入職員全体の1~2割程度です。1類A方式の採用人数が少ないことからも、少数派の部類になります。なお、大学院卒者でも1類B方式で入都してくる職員もいます。
そして、大学院卒ではありませんが、新卒で就職したけれど、様々な理由があって早めに転職を決めた層(23歳~26歳位)が、およそ3割程度います。1類B新方式の影響もあるでしょうが、「他の会社で2~3年働いていた」という人が多いです。体感としては、大卒ストレート組と同じか、それより少し少ないくらいの割合です。
さらに、前職でがっつり(5年以上)働いたけど、給料や福利厚生、将来性の観点から転職を決めた層(27歳~31歳位)が、およそ1~2割程度です。入都の時点で、20代後半の人や、30歳を過ぎている人もそれほど珍しくはありません。
最後に、高卒で入都してくる職員が、1割程度います。
2-2 各年齢層の割合
以上をまとめると、入都次の年齢は、概ね次のような割合になります。
- 18~22歳(10%)
- 22~23歳(30%)
- 24~26歳(45%)
- 27~31歳(15%)
あくまで筆者の体感の割合ですが、本庁・出先事務所含め現役職員の友人数人に確認したところ、「大体そんな感じじゃないか」と言っていましたので、大きく外れてはいないと思います。
3 合否に年齢は影響するのか?
都庁における年齢比率について分析してきましたが、社会人の方、転職者の方が一番興味を持たれるのはここだと思います。 受験者の年齢は合否に影響するのでしょうか?
結論を先に述べると、「一切影響しない」となります。
3-1 採用試験は点数のみで判断される
まず、一次試験は筆記試験で客観的に点数が確定するため、年齢が入り込む余地はありません。昨今世間を騒がせた医学部入試のような、年齢による加点・減点制度もありません(笑)
さらに面接試験においても、年齢は一切考慮されません。
都庁は、「組織で使える人材」を欲していますが、年齢が低いフレッシュな人材であることと、組織で活躍できることの間には、ほとんど相関性がないことが実証されているからです。
筆者の知り合いの職員も、就職活動に失敗し、大学卒業後2年ほど定職に就けずアルバイト生活をしていた人が、上位の順位で採用試験を合格し、現在本庁で働いています。面接で「大学卒業後、就職せずになぜアルバイトをしていたのか?」は当然聞かれたそうですが、しっかりと受け答えができれば、特にマイナスになる要素ではありません。
3-2 実は転職者が有利?
これは意外と思われるかもしれませんが 大卒ストレートの学生よりも、2~3年程度職歴のある25際前後の受験生の方が、即戦力になると期待されるケースが多いように思います。
別の記事で解説をしますが、大卒ストレートの学生は、入都後の最初の配属で出先機関になる可能性が非常に高いのに対し、転職組は最初の配属が本庁になる事例も多く見られます。
これは単純に年齢による差別化ではなく、前職経験がある点で、「本庁の仕事に対応できる下地を備えている人材」と人事側に判断される場合が多いからです。
4 まとめ
今回は、都庁を目指したいけれど年齢を気にしていらっしゃる方に向けて、都庁試験と年齢の相関性について解説してきました。
簡潔にまとめるならば、都庁の採用試験に年齢による有利・不利は一切存在しない、となります。
筆記試験に年齢が介在する余地がないのは当然として、面接においても、面接官側は都庁で働く素養のある人物か否かをチェックしているだけなので、年齢を理由に不合格にされることはありません。上で述べたとおり、筆記試験受験年齢ギリギリになって受験し、入都してくる職員も多いです。
ですから年齢は気にせずに、都庁に入りたいと思ったらその時点から全力で勉強することをお薦めします。その際、受験対象年齢に入っているかの確認だけは怠らないでください(笑)
ただし、入都時の年齢は、その後の出世に関して影響してきます。これについては「入都年齢と出世の関係」で解説しています。
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