都庁職員の年収と初任給

「都庁に入ると、給料はどれくらい貰えるのか?」

 都庁受験を考えている学生さんや、都庁への転職しようと考えている社会人の皆さまにとって、最も気になるテーマの一つだと思います。

 都庁に勤めると、高収入が約束されているのでしょうか?(笑)

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1 はじめに

「都庁職員は高収入」「地方公務員の中で都庁は最も年収が高い」

 こんな話を耳にしたことのある人も多いと思います。

 一方で、「民間と比べると、公務員は給料が安い」という印象を持っている方も多いでしょう。

 都庁職員の年収モデルは人事委員会のHPで公表されていますので、確認しようと思えばすぐにでも確認することができます。

 しかし、いざ確認したところで、いまいち実感が湧きづらいと思います。筆者自身が学生時代、実際に確認をしてそう感じましたので(笑)

 そこで今回は、公表されているデータを元に、筆者が実際に貰った金額等を踏まえて都庁職員の年収を具体的に解説していきます。

 まずは都庁の平均年収を見てみましょう。

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2 都庁の平均年収

 様々な場所で紹介されていますが、都庁職員の平均年収は約710万円(平均年齢約41歳)です。全国の労働者の平均年収が約440万円(集計方法によって様々なデータがありますので、一つの参考指標の数値です)程度という事実を踏まえると、間違いなく高収入だといえます。

 もっとも、入都者の学歴を踏まえて考えると、また違った考え方もできます。ご批判もあるかもしれませんが、現実的な問題として、都庁の職員は大多数が高学歴です。都庁職員の学歴については都庁職員の学歴と出世をご覧ください。

 そして、都庁職員の出身大学の学生が、通常の就職活動を経て普通に民間企業に就職したとすると、都庁の平均年収とあまり変わらないのではないか?むしろもっと貰える企業に入れるのではないか?と考えることもできます。

 実際に早稲田出身の同期と話をしていると、ゼミの友人は金融業界・商社・広告業界等に勤めている人もいて、大半は自分より高収入だと言っていました。自分と同じ程度の収入なのは、他の自治体に行った人と、国家公務員になった人だけだそうです(笑)

 とはいえ、41歳で平均700万円を超えているならば、筆者の感覚としてはやはり高年収な気がします。もっとも、都庁の給料は役職により大きく異なるため、41歳で700万円という平均数字自体には、実はあまり意味がありません。40歳で1000万円に達している職員もいれば、600万円前後の職員もいるからです。

 ではここで、人事委員会が公表している、年収モデルケースを見てみましょう。

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3 都庁職員の年収モデル

 人事委員会が公表している、都庁の年収モデルです。

https://www.saiyou.metro.tokyo.lg.jp/kyuuyokettei.html

 この中から、一部抜粋して紹介していきます。

年収モデルケース

25歳主事:3,678,000円

35歳課長代理(係長):6,243,000円

45歳課長:10,238,000円

50歳部長:13,036,000円

※この金額には、基本給だけでなく、地域手当やボーナス、扶養手当などの諸手当が含まれています。

 これを見て、皆さまはどう感じるでしょうか?

 筆者は正直に、「高いな」と感じました。25歳主事と35歳係長(課長代理)の年収については特に違和感がありませんでしたが、45歳課長で1千万を超えるのは、素直に高いと思いました。世間的にも1千万円プレーヤーという言葉があるため、やはり1千万円は一つの指標にはなるのかな、と思います。

 ちなみに、都庁職員として平均的な能力を有している人ならば、真面目に仕事をし、昇進試験に向けてしっかりと勉強すれば、最終的に課長級までは昇進することができます。年収1千万プレーヤーになれる可能性がかなり高いのです。ある程度の能力があって、課長に到達していない人は、そもそも出世に興味がない場合がほとんどです(笑)

※ちなみに都庁の管理職(特に本庁管理職)は極めて大きなストレスがかかりますので、楽して1千万円を稼げるわけではありません。

 上のデータは人事委員会がHP上で公表しているものですが、現実を忠実に反映しています。公務員バッシングを避けるために、あえて低い金額を提示しているのではないか?と思う方もいらっしゃると思いますが、筆者自身がもらった金額や、先輩から聞いた金額、飲みの場で上司が話してくれた金額などと比較しても、このデータは正しいと断言できます。

 どこの自治体とは言いませんが、諸手当を控除してあえて実際より低い年収モデルを提示している自治体もあります(笑)

 では、実際の職員のデータを元に、年収の額を具体的に解説していきます。 新卒職員の給料は最後に紹介しますので、まずは、課長代理(係長)の年収から見ていきましょう。

3-1 係長(課長代理)のケース

 大卒ストレートで入都し、最短で主任試験・管理職試験を合格すると、年度末年齢30歳の年に係長(課長代理)に昇進します。30歳課長代理はまさに働き盛りの年代でもあるため、概ね激務の部署に配属されがちです。そして、残業代を除いた年収は約580~600万円程度です。残業代は完全に配属部署によりますが、上記年収に残業代が加わると、650~800万円程度になる場合が多いです。

 40歳課長代理になるころには、大分昇給が進んでいます。これまでの勤務成績により年収にある程度の差がついているので一概にいうのは難しいところではありますが、残業代を除いた年収は概ね680~720万円程度になる場合が多いです。これに残業代が加わると、750~900万円程度になる場合が多いです。

 さらに定年間際(50代後半)の課長代理になると、残業代を除いた年収は概ね750万~850万円程度まで上昇します。年齢を重ねる毎に、昇給の幅は少なくなっていきます。課長代理までは残業代が付きますので、この年代の課長代理で忙しい部署に配属された場合、年収が1千万を超えるケースも珍しくありません。

 一方、この年代の課長代理が出先機関に配属された場合、毎日定時で帰ったとしても、750万~850万円程度が保証されています。コスパが最高と言われたりもしています(笑)

 では次に、管理職(課長級)の年収を見てみましょう。

3-2 課長のケース

 課長になると、年収は最低でも800万円以上です。最短で主任試験・管理職試験を合格すると、35歳で課長になれますので、その年代としては極めて高収入になります。(もちろん、もっと貰っている民間企業は多いですが。)

 しかし、課長級からは残業手当がつかないため、どれだけ残業しても手取り額は増えません。都庁本庁には、40~50歳程度の課長が多く在籍していますが、1000万~1100万程度の年収の方が多いです。ちなみに、年齢の上昇と共に昇給幅が少なくなるため、定年間際になってもそこから大きく増えることはありません。また、出先機関の課長と本庁の課長を比べると、両者の間では手当金が異なるため、本庁の課長の方が収入が若干高くなります。

 部長以上の年収は、直接聞くのがあまりに憚れるため、筆者はデータを持ち合わせていません(笑)

 しかし、人事委員会が公表しているデータで間違いはないと思います。

 なお、出世レースに勝ち残り、局長にまで出世した場合、1800万~2000万程度の年収になります。公務員としては破格でしょう。

 局長級まで辿り着ける職員は同期の中でも一握りですが、意欲のある人はぜひ頑張って下さい!

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4 新人職員の年収

 ここまで、役職に応じた年収を紹介しました。

 しかし、皆さまが当面気になるのは、入都後にいくら貰えるのか?ということではないでしょうか。

 それでは、筆者が入都時に実際に貰った金額(額面)を紹介します。筆者23歳時(初年度)の年収は、約350万円です。初年度は6月のボーナスが満額貰えないため、どうしても金額が低くなってしまいます。

 正直にいうと、「ちょっと少ないなぁ」と感じた記憶があります。もっとも、家賃補助や残業代(初年度は少なかったですが)、通勤手当も含まれていますので、職員によって差は生じます。といっても、多くても10~20万程度の差だと思いますので、よほど激務の部署に配属されない限り、年収400万円を超えることは稀です。

 なお、転職組で前職のある方は、前職の年数が加算されますので、初任給といっても新卒大学生とはまったく変わってきます。4年間フルに民間で働いた後に都庁に入都した場合、都庁職員としては1年生ですが、5年目職員の給料体系が適用されます。

 参考までに、筆者の5年目の年収を紹介します。

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5 5年目職員の年収

 筆者27歳時(5年目)の年収は、約530万円です。5年目は本庁で比較的忙しい部署にいたため、残業代で年収が増えました。残業が全くなかったとしたら、450万円前後だったと思います。新人の時よりも家賃の高いマンションに住んでいましたが、それでもかなりゆとりのある一人暮らし生活でした。

 都庁職員は毎年確実に昇給します。すごく大雑把にいうと、ボーナスも含め、年収が額面で約20万円上がります(勤務成績等により多少変化します。)

 つまり、初年度に比べて20万円×4回の昇給と、残業代が100万円加算され、350万円から530万円にアップした感じです。

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6 まとめ

 今回は都庁職員の年収について、実際のデータを示して解説してきました。

 順当に進んでいくと、23歳で約350万円、27歳で約530万円、30歳係長で約650万円という感じで昇給していきます。残業の多寡によって大きく収入は変わりますので、上の金額+-50万円程度の職員が多いでしょう。

 これを高いと思うか、低いと思うかは本当に人によると思いますが、皆さまが都庁への就職・転職を考える際の一つの資料となれば幸いです。

 ちなみに筆者は係長に昇進する直前で退職しましたので、まさにこれから年収が上がっていく!という段階でのドロップアウトです。退職したことを後悔はしていませんが、ちょっと勿体ない時期だったな、と思う心の狭い筆者でした(笑)

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