都庁採用試験の順位と配属局の関係

 「せっかく都庁に合格したのだから、〇〇局に配属されたい」「本庁で頑張りたい」と考えている合格者の方も多いと思います。

 一方、「□□局には行きたくない」「出先事務所は嫌だな」のように考えている方も多いでしょう。

 いずれにせよ、最初に配属される局・部署については、合格者の全員が関心を持つ事項であることは間違いありません。むしろこれに興味のない方は、悟り過ぎだと思います(笑)

 今回は、最初に配属される局がどのように決まるか、そして希望の局に配属される方法について、採用順位との関係を踏まえて詳細に解説していきます。

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1 はじめに

 上で述べたとおり、「どこの局に配属されるか?」は、採用試験に合格した受験生にとって最大の関心事項であることは間違いありません。そして、合格時に通知される採用順位と実際の配属先の関連について気になる方も多いと思います。筆者もその内の一人でしたので、気持ちは痛いほどわかります。

 ネットを見ていると、「採用順位と配属先は関係ない」という情報が一応主流になってはいますが、

  • 「政策企画局・総務局・財務局等は上位合格者が配属される」
  • 「合格順位が低いと、主税局の都税事務所や教育庁の学校事務、水道局の営業所等の現場に回される」
  • 「新人で本庁採用されるのは超上位合格者のみ」

 など、様々な都市伝説が出回っています。

 確かに、政策企画局や総務局を花形部署とイメージしている受験生が本当に多いため、このような都市伝説が出回るのも理解できます。筆者自身、都庁に入る前は、まさにそのようなイメージを持っていました。

(花形部署の現実については都庁の花形部署についての記事で解説しております。)

 では、採用順位と配属局について、関連性があるのでしょうか?

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2 採用順位と配属先の関係

 結論を先に言ってしまうと、採用順位と実際の配属局・配属部署には全く相関性がありません

 入都式で知事の前で祝辞を読む超上位合格者が、主税局の都税事務所配属であることも多いですし、反対に、採用順位ギリギリ合格だったけれど、最初の配属局が総務局や財務局の職員も普通にいます。

 採用順位と配属局・配属部署に相関性がないことは、都庁職員の間ではむしろ常識となっています。「絶対に希望の局に行きたいから、上位で合格するんだ!」というモチベーションは、受験勉強をするには素晴らしいと思いますが、そういった熱意ある受験生ほど、主税局や教育庁の現場に配属されてしまうのが世の中の常かもしれません(笑)

 逆に合格順位が合格者平均より下の筆者の友人で、「現場でのんびりやっていきたい」と言っていた男の最初の配属先は、総務局の本庁部署でした。彼は入都後、「残業のない現場に行きたかったのに」とボヤいておりました。

 そして、配属局だけでなく配属部署を決めるにあたっても、採用順位は一切考慮されません。ちなみに、配属局は人事委員会が一括して決定をしますが、配属部署は、配属された局が個別に決定しています。

 例えば、採用試験合格者のAさんの配属先が建設局の出先事務所だった場合、建設局に配属することを決定するのは人事委員会ですが、Aさんを本庁に配属するか、又はどこの出先事務所に配属するか等を決めるのは、建設局の人事を担当する部署が決定します。局が決まった後の配属先については、人事委員会は関与していません。

※配属部署の決定の詳細については、配属面談の攻略法で解説しております。

 このように、採用順位と最初の配属先は相関性がありません。筆者はたまに某有名掲示板の都庁採用板を見るのですが、やはり「上位合格=花形局に行ける」という都市伝説が多数派になっていて、ついニヤニヤしてしまいます(笑)

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3 希望局に配属される方法

 では、どうすれば希望する局に行けるのでしょうか?

 先に絶望的な結論ですが、希望局にピンポイントで配属される方法はありません

 職員になってからの部署異動についてはコツがあるので、希望する局に異動することは不可能ではありませんが、最初の配属局については無理です。

 と、言い切ってしまうとここで話が終わってしまいますので、ほんの少しでも希望が叶いやすい方法を解説していきます。もっとも、希望する局にピンポイントで行ける方法は本当に存在しません。

 なお、人事委員会の幹部が偶然自分の知り合いで、その人が口利きをしてくれる場合は希望が叶うかもしれませんが、そんなことはありえないでしょう(笑)

 しかし、希望局に配属される可能性をほんの少し上げることは可能です。その方法とは、「採用面談でうまくアピールすること」です。

3-1 採用面談とは?

 すでにご存じの方も多いとは思いますが、採用面談とは、採用試験合格者に対し、入都の意向等を確認するために行われる面談です。例年、8月後半頃に実施される場合が多いです。余談ですが、健康診断も同時に行われます。

 令和2年度はコロナの影響で受験日程が大幅に変更されてしまいましたが、例年、翌年4月に向けた採用のスケジュールは次のとおりです。

※1類B一般方式の場合。その他適宜各局の事業説明等がある。

  • 5月初旬:一次試験(筆記)
  • 6月中旬:一次試験合格発表
  • 6月後半:二次試験(面接)
  • 7月後半:最終合格発表
  • 8月後半:採用面談+健康診断
  • 2月~3月:配属面談(各局)

 この採用面談は、入都に向けた意向確認(辞退をしないか等)の意味合いが強いものですが、採用面談の中で「何の仕事をしたいか?」「何に興味があるか?」といった内容も聞かれます。

 ここでうまくアピールをすることができれば、希望の局に行ける可能性がほんの少し高まります。と言うよりも、何の仕事をしたいかについて発言する機会が他にないため、ここが唯一のアピールポイントとなります。

 ちなみに、余程ひどいことを言わなければ採用面談で合格が取り消しになることはないので、特に気負わずリラックスして臨みましょう。

 2月~3月の配属面談については、配属面談の攻略法で詳細に解説します。

3-2 採用面談の攻略法

 では、採用面談でどのようにアピールすれば、希望局に配属される可能性が高まるのでしょうか?

 こちらも結論を先に述べると、人気局へ配属される可能性を上げる方法はありません。一方、受験生に不人気局(言葉のチョイスが悪くて申し訳ありません)へ配属される可能性を上げる方法はあります。

 まず現実を述べると、受験生の多くが文化振興や観光振興、都市計画、環境政策などを希望しているため、これらの事業を行っている生活文化局・産業労働局・都市整備局・環境局を希望しても叶う可能性は残念ながら相当に低いです。そもそもこれらの局は、都庁全体の中でも配属される人数が決して多くなく、そもそも新人のポストがないケースもあります。

※都庁に限らず、役所の業務はポストで割り当てられているため、新人のポストがなければどれほど優秀な職員であっても配属されません。この点については、改めて解説します。

 一方、受験生にはあまり人気のない主税局や教育庁、水道局等は、配属される人数自体が多いため、倍率自体が低くなります。あまりいらっしゃらないとは思いますが、「納税の徴収をしたい!」「学校事務をやりたい!」「水道料金の取り立てをしたい!」と採用面談で必死にアピールをすれば、「そうかそうか」と、局を決める際に考慮してもらえる可能性は結構高くなると思います。

 要するに、需要と供給のバランスです。

 希望者が多い局に希望を出しても、叶う可能性は極めて低いです。また、人事委員会は配属局を決定するにあたり、ここでの希望を参考程度にしかしていないため、どれだけ熱く訴えたところで効果は薄いです。

 逆に、希望者が少ない局に行きたいと熱く訴えれば、「希望者が少ないから優先的に送ってやるか」と配慮してくれる可能性は高くなります。

 残念ながら、希望者が多い局の選定は、ほぼ抽選のようなものだと思います。しかし、少ないながらも第一希望が叶っている職員は一定数います。「希望は一切考慮されず、ランダムで当てはめているだけ」という噂も耳にしたことがありますが、第一希望が叶っている職員も一定程度いるため、採用面談でのアピールが一切無駄というわけでもないのかもしれません。

 高倍率を覚悟して、受験生に人気のある局に行きたいとアピールするか、あまり人気はないけど、ここなら良いかと思える局をアピールするか、難しい所ではあります。ちなみに筆者は行きたい局をしっかりアピールして、見事に撃沈しました。ご参考までに(笑)

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4 まとめ

 今回、採用順位と配属先には関連性がないことについて解説をしてきました。あまり参考にはならなかったかもしれませんが、人気局に配属される方法は本当に存在しないのです。

 もっとも、採用面談で人気局への配属を志望した場合、叶う可能性は相当に低くなってしまいますが、実際に叶う職員がいる以上挑戦する価値は十分にあると思います。一方、主税局や教育庁を志望した場合、希望が叶う可能性は高くなります。

 採用面談で第1志望に固執するか、第2・第3希望に下げてでも、入りやすい局を確実に狙うか、難しい選択だとは思いますが、入都後の異動も可能なため、あまり深く意識しすぎなくても大丈夫です。

 余談ですが、受験生にとって主税局はあまり人気がないかもしれませんが、都庁内部では、主税局はかなり人気の異動先となっています。(笑)

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