「都庁に入ったら、長期休暇って取れるのかな?」「海外旅行が趣味なんだけど、毎年行ける?」「短期留学に興味があるんだけど、許してもらえるかな?」
このように、入都後に長期休暇が取得できるかどうかについて関心がある方も多いと思います。
「社会人になる前から休むことばっかり考えるな」と筆者は自分の親から怒られた経験がありますが(笑)、長期休暇をモチベーションにすることは何も悪い事ではないですし、実際、長期休暇が取れるか否かで人生の満足度も大きく変わるでしょう。
今回は、そんな都庁における長期休暇取得の可否について、職場の現実を詳細に解説していきます!
※都庁には、出産休暇・育児休暇や病気休職等、特別の事情がある場合には当然に認められる長期休暇がありますが、今回は有給休暇や夏休み等、通常時に職員が自由に使える休暇に絞って解説していきます。
1 はじめに
先輩や親から、「社会人になったら長期休暇は取れないから、旅行や留学は学生の内にしておいた方がいいよ」と言われたことのある方も多いのではないでしょうか。
令和3年時点では、新型コロナの影響で海外旅行や留学が極めて難しい状況にありますが、通常時であったら、卒業までにできるだけ旅行をしておこうと考えることも自然だと思います。
では、社会人になったら本当に長期休暇は取れないのでしょうか?また、海外旅行や留学は本当に学生の間でなければできないのでしょうか?
今回は、そんな皆様の疑問に答えていきたいと思います。
なお、都庁の年休制度について興味のある方は、先に都庁職員の有給(年休)事情をご参照下さい。
2 1年間で使える休暇日数
都庁では、毎年1月1日付けでに20日分の年休が付与されます。その他、夏の間(例年7月1日~9月30日)のみ使える夏季休暇が、毎年5日分付与されます。この夏季休暇については、5日間の連続取得が奨励されていますが、5日間をバラして通常の年休と同様に取得することも可能です。
民間企業の中には、夏季休暇を有給から取得させる会社も多いようですが、都庁では年休と夏季休暇は完全に別の制度です。
例えば、筆者の友人の会社では、毎年20日間の有給が与えられ、5日間の夏季休暇を取得するように会社に指示をされるそうです。しかし夏季休暇の5日間分は20日分の有給から使用しなければならないため、実際は夏季休暇でも何でもなかったとボヤいていました。
一方、都庁では20日間の年休にプラスして5日間の夏季休暇が付与されます。つまり、年間で25日間の休暇が取得できるということです。そして5日間の夏季休暇は、基本的に全部使い切るように上司から指示がされます。
これは非常に喜ばしい事ではありますが、「だったら20日間の年休も全部使い切るように指示しろよ」と感じるのは筆者だけでしょうか(笑)
3 長期休暇は取れるのか?
このように、基本的に都庁では年間25日の休暇を取得することができます。そして、それほど忙しくない出先事務所等の職員の中には、25日をフルで取得する人も珍しくありません。筆者自身、都庁生活の中で3年間は、25日フルで取得することができました。
※なお、年休には繰り越し制度があるため、最大で年間40日分の年休を取得することができます。こちらについても都庁職員の有給(年休)事情で詳細に解説しています。
となると、「最大で何連休にできるのか?」が気になる方も多いと思いますが、極端なことを言ってしまえば、例えば「7月1日から25日の年休・夏休をすべて使います」と宣言すれば、土日を含め8月の10日前後まで休みに入ることも制度上は可能です。
しかし、さすがにそんな職員は見たことがありませんし、もはやテロに近いです(笑)課長が年休の取得を認めない可能性も大いにありますし、こんな休み方をしてしまっては、最悪な人事評価が付くことは間違いありません。
ですので、常識の範囲内で何連休が取れるのか?ということについて解説していきます。
3-1 通常職員の休暇取得術
本庁か出先事務所かによって異なりますし、また業務量や忙しさ・係の人数によっても大きく変わってきますので一般化することは非常に難しいのですが、都庁では次のような感じで年休・夏休を取得する職員が比較的多い印象です。
- 毎月1~2日年休を取得
- 夏休は、お盆の時期に5日間連続で取得
もちろん繁忙期には年休を取得できない月もあるでしょうし、その代わりに業務の閑散期に月3~4日年休を使う職員も多くいます。また、お盆の時期はどこに行くにも高くて帰省先・旅行先も混むので、あえて世間の夏休みとずらして長期休暇を取得する職員も多いです。
そういった個別の事情もありますが、上のような休暇の取り方が最もベーシックな休暇の取り方であり、このような休み方をすることについて「あの人休みすぎだよね」等と指摘されることはまずありません。
そして連休についてですが、通常の職場では、土日と併せて2日間の取得(土日+月火の合計4連休)程度であれば、ほとんどの職員が普通に取得しています。一方、何もない時期に3日間連続して年休を取得(土日と併せると5連休)することは遠慮する人が多いです。筆者の同期に話を聞いても、「3日は取れないなー」という人が多いので、この感覚は通常の都庁職員の感覚と概ね当たっていると思います。
もちろん、激務の部署で仕事が一段落した場合や、休暇を取れる時期が限られているような職場は別です。しかし、「2日間は年休が取れるけど、3日間はちょっと厳しい」と感じる職員が実際多いです。反対に考えると、何もない時期に3日間休むと、「あの人結構休むな」と周りから思われる可能性もあるということです。
ただし、事前に布石を打っておく場合は、3日間休んでも特に目立たないこともあります。例えば、4月ぐらいの段階で「6月に沖縄に行くことになったので、すみませんが年休3日いただきます」的な雰囲気を出しておけば、それほど上司や他の同僚も嫌な顔をしない場合が多いでしょう。あくまで上司・同僚にもよりますが…。
筆者の同期は、12月に3連休を取るため5月の時点から年末の予定表に年休の予定を入れていました。さすが早すぎですが免責の効果はあったそうです(笑)
3-2 2週間程度が限界
このような雰囲気を踏まえると、通常の羞恥心を持っている職員であれば(笑)、連休にできるマックスは2週間程度が限度だと思います。
例えば、年末年始休暇やゴールデンウィークに年休を3日ほどプラスすると、12日程度の休暇を取得することができますし、また土日を挟んだ夏休の5日間にプラスして年休を3日ほどくっつけても、12日程度の休暇を取得することができます。
筆者がこれまで出会った人の中では、夏休5日間に年休を5日間プラスして、土日を含めて16日間の休暇を取得した方がいました。16日は流石に長いと思いますが、ガッツリ休めて本当にリフレッシュできたそうです。
3-3 短期留学は可能か?
「そもそも短期留学なんて興味ないよ」という方の方が多いと思いますが、筆者も含め、語学に興味のある都庁職員も意外と多いので、短期留学の可否についても解説したいと思います。
と言っても、結論はこれまで解説してきたとおりです。1~2週間の短期留学ならば毎年でも可能ですが、1ヵ月を超える留学はほぼ不可能です。
やはり、まとまった期間を海外で過ごしたいのならば、学生時代に行っておくか、又は前の会社を辞めて都庁に入都するまでの間に行っておくしかないでしょう。ちなみに転職者の中には、都庁の合格が決まる(例年7月末頃)とすぐに仕事を辞め、翌年3月まで好きなことをやって過ごす人もいます。お金を持っている社会人にとっては、人生で最も充実した半年間になるでしょう(笑)
※都庁には、研修の一環としての短期留学制度があります。こちらの制度を利用すると、仕事の一環としてアメリカの大学院等に半年~1年程度進学することができます。都庁の留学制度については、改めて解説する予定です。
4 まとめ
今回は、入都した後に長期休暇を取得できるか?について解説してきました。簡単にまとめると次のとおりです。
- 夏休5日間は連続で取得できる
- 長期休暇は2週間程度が上限
- 短期留学や長期旅行をしたいならば、学生の間か前職を辞めて都庁に入るまでの間にしておく
筆者自身、都庁の年休制度は非常に恵まれていると感じていましたが、やはり1ヵ月を超えるような長期休暇を取ることは現実的に無理だと言わざるを得ません。転職者の方は、早めに前職を辞めて存分にリフレッシュをすることを強くお薦めします(笑)
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