都庁採用試験の配点と合格点

 都庁採用試験における基本情報ですが、都庁採用試験の合否は、教養択一試験専門記述試験教養論文試験の3科目からなる「筆記試験(一次試験)」と、「面接試験(二次試験)」の総合点で決まります。

※一次試験=筆記試験=教養択一+専門記述+教養論文

※二次試験=面接試験

 それぞれの科目の配点を知りたいと考えている受験生がほとんどだと思いますが、都庁採用試験の配点は公表されていません。今回は、近い年度に試験を終えた若手職員や、実際の受験生から筆者が集めたデータに基づいて、都庁採用試験の配点と合格点を具体的に予想し、解説していきます。

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1 配点を知ることの重要性

 「配点を知っていても、どうせ全科目勉強しなければならないし、試験対策に特に影響ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

 しかし、勉強にかけられる時間が有限な以上、絶対に配点は知っておくべきです。配点を知っておけば、効率的に合格点を取るにはどう勉強すれば良いか、という戦略が立てられるからです。

 ところが、近隣自治体が採用試験の配点を公表しているのに対し、都庁は採用試験の配点を公表していません。どこを探しても見つからないですし、同僚と採用試験の話をしていても配点を知っている人を見たことがないので、採用試験を実施している人事委員会が完全な秘密事項にしていることは間違いないと思います。配点ぐらい公表しても良いと思うのですが(笑)

 ネット上の某掲示板において、試験直後から様々な書き込み・分析がされているところから考えても、都庁採用試験の配点は受験生全員が知りたい情報といえるでしょう。 ちなみに、大手予備校は在校生の試験結果を収集しているためかなり正確な予測が出来ていると思いますが、配点を知ること自体が受験戦略上極めて重要であるため、外部生には絶対に公表しないと思います。

 今回、筆者の持つ情報を最大限に活用し、具体的な配点予想を行いますので、よろしければ参考にしてみてください。なお、完全に趣味の領域でありますので、正確性については担保できません。あくまで参考という程度でご了承下さい。

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2 近隣自治体の採用試験の配点

 都庁の採用試験とは直接関係ありませんが、東京都の近隣自治体で、採用試験の配点を公表しているものを見てみましょう。

※都庁1類B一般方式に相当する近隣自治体の試験区分

  • 埼玉県上級(一般行政)
    • 一次試験
      • 教養試験 100点
      • 専門試験 100点
    • 二次試験
      • 論文試験 100点
      • 人物試験 400点
      • 合計 700点(面接比率400/700)
  • 千葉県上級(一般行政A)
    • 一次試験
      • 教養試験 100点
      • 専門試験 100点
    • 二次試験
      • 論文試験 100点
      • 面接試験(個別+集団討論)400点
      • 合計700点(面接比率400/700)
  • 神奈川県一種試験(行政)
    • 一次試験
      • 教養試験 100点
      • 専門試験 100点
    • 二次試験
      • 教養論文 50点
      • グループワーク50点
      • 個別面接(一次) 50点
      • 個別面接(二次)200点
      • 合計 550点(面接比率250/550※グループワークを面接の一環と考えると、300/550)

※正確な情報は各県の採用HP等でご確認下さい。

 近隣自治体(埼玉県、千葉県、神奈川県)における採用試験試験の配点を見てみると、どの自治体においても、筆記試験と面接試験の配点比率が大体同じ比率に設定されていることがわかります。筆記試験(40~45%)に対し、面接試験(55%~60%)です。各自治体においてそれぞれ採用試験の特徴は異なるでしょうが、地方公務員の行政職という共通点がある以上、採用したい人材にそれほど大きい差があるとも思えません。

 以上のことを踏まえると、都庁における採用試験の配点も、上の自治体とそこまで大きく変わらないことが推測されます。例えば、筆記試験:面接試験≒7:3のような極端な配点比率にはなっていないでしょう。

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3 成績通知からの予想

 繰り返しになりますが、都庁は試験の配点を公表していません。なので、配点を知るためには、実際のデータを収集・分析し、そこから予測していく必要があります。

 そして、都庁採用試験では、受験者に対し最終的に自分の点数が通知されます。筆記試験で不合格の人は、筆記試験(教養択一・専門記述・教養論文)の総合得点及び順位が通知され、筆記試験を通過して面接試験を受けた人は、最終総合得点(筆記試験+面接試験の総合点)及び順位が、合格・不合格関係なしに通知されます。

※ 一次試験不合格者=教養択一・専門記述・教養論文の総合得点及び順位の通知

※一次試験合格者=教養択一・専門記述・教養論文・面接試験の総合得点及び順位の通知

 一方、筆記試験で合格した人には、筆記試験のみの成績は通知されません。最終合格発表時に最終総合得点が通知されますが、筆記試験と面接試験の得点の内訳はわからないようになっています。筆記試験を合格し、面接試験を受験せずに辞退した場合、筆記試験の成績のみが通知されるのかもしれませんが、面接試験の辞退者が身近にいなかったため、筆者はデータを持っていません(笑)

 言い換えれば、筆記試験の合格者が、筆記試験のみで何点取ったかを知ることができないため、筆記試験の合格ボーダー点数はわからない、ということです。なので、実際に筆記試験を受けた合格者・不合格者のデータから分析していく必要があります。

3-1 筆記試験の合格点数予想

 まずは、筆記試験の合格点を予測をしてみましょう。試験年度にもよりますが、筆者が実際に聞いた話では、筆記試験で不合格となった方の得点は250~270点前後のパターンが多かったです。その中でも270点台後半で一次試験を不合格となった筆者の後輩A氏は、一次試験の合格順位ギリギリ(その年度における一次試験の通過人数+50位以内)で不合格となっていました。

※A氏は次年度の試験で無事合格し、今は都庁職員として働いています。

 また、ネット上の某掲示板(情報の真偽が不明なため、あくまで参考程度ですが…。)の書き込みを見ても、概ね240~250点前後で不合格との報告が多く見られます。一方で、280点を超える不合格者を見たことがありません。

 ここから考えて、一次試験の合格点数は、280点前後の年が多いのではないか?と推測されます。

3-2 筆記試験の配点予想

 それでは、一次試験の配点を予測してみます。

 まず、資格試験や大学受験は、一般的に合計点の6~7割程度を合格点とする場合が多いです。都庁の採用試験においても、合計点の5割以下や、8割以上を合格点にするような、極端に難しい又は簡単な問題を使用する必要性はないので、この傾向は同様だと考えられます。280点前後と予測される一次試験の合格点数から逆算すると、筆記試験の配点が300点以下であることや、500点以上であることは少し考えづらいです。筆記試験の合計得点が切りの良い数字であるとするならば、400点か450点程度だと考えるのが妥当ではないでしょうか。もし配点が10点刻みだとしたら、もはや予想は不可能です(笑)

 筆記試験の諸々については別の記事で詳細に解説する予定ですが、都庁の筆記試験の構成は次のとおりです。

  • 教養試験:択一式40問
  • 専門記述:記述式3問選択
  • 教養論文:論文式1問

 この内、平成27年度の試験まで教養試験は足切りのためにしか使用されず、合否の判定基準とされなかったことを踏まえると、教養試験の配点が専門記述・教養論文より高くなることは考えづらいと思います。

 ここから、配点は次の2パターンのどちらかが妥当ではないか?と推測されます。

  1. 合計点が400点の場合
    • 教養試験:100点(1問2.5点換算)
    • 専門記述:150点(1問50点換算)
    • 教養論文:150点
  2. 合計点が450点の場合
    • 教養試験:100点(1問2.5点換算)
    • 専門記述:150点(1問50点換算)
    • 教養論文:200点

 ネット上の掲示板等では、専門記述と教養論文の配点を同じと予測しているケース(1. のようなケース)が多いです。しかし、筆者は2. ではないか、と考えています。

 というのも、上に書いた筆者の後輩A氏から聞いたところ、実際の手応えと結果の相関性は次のとおりでした。

  • 教養試験:その年度の足切りボーダー点+1点(6割程度)
  • 専門記述:1問がほぼ白紙(150字程度)、残り2問は完璧ではないが、あらかじめ準備していた解答をかなり再現できた(800字程度)
  • 教養論文:準備していたテーマではなかったが、無難にまとめることはできた
  • 結果:270点台後半(ギリギリ不合格)

 教養試験が6割正解で60点、専門記述の2問がかなり書けたということで40点×2=80点、残り1問は10点程度しか取れなかったとして、教養択一と専門記述で150点程度の得点になると推測されます。そうすると、教養論文で130点程度を取ったということになりますが、150点満点の教養論文で、130点を取ることは非常に難しいでしょう。論文という明確な正解のない科目で、9割近くの高得点を取ることは至難のワザ、採点官も、なかなか付けないと思います。A氏も、筆者と一緒に飲んだ際に、あの教養論文で9割取ることはあり得ないと言っていました。

 一方、論文の配点が200点だとすると、200点満点のテストで無難にまとめて、130点を取ることは自然だと思います。また、専門記述は外した(完答は1問だけで、残り2問が微妙など)けど、何故か合格した!というケースは、筆者が実際に話を聞いた職員の中でも多く見られました。さすがに、専門記述を3問外した人で合格した人には会えませんでしたが。さらに、教養試験が足切りボーダーだったけど合格した人も多いです。

 それに対し、教養論文の字数が埋まらなかった・内容が全然駄目だった・途中で論理破綻した、けど合格したという人は見たことがありません。合格者はほぼ例外なく、教養論文を何とか形にしてまとめあげています。

 ここから、筆記試験で最も重視されるのは、教養論文であることが推測されます。

 年度によって多少前後するでしょうが、一次試験の合計点が450点で、その内6割強である280点前後を合格点としている、筆者はこのように予測しています。

 ちなみに、A氏が通っていた某大手公務員予備校の専任教師の方も、配点自体は筆者と同じく、教養択一:専門記述:教養論文=100:150:200と予想していたそうです。

3-3 最終合格に必要な点数

 続いて、最終合格に必要な点数を予測していきます。

 上で解説したとおり、一次試験の合格点数は280点程度だと推測されます。もちろん、年度によって多少前後すると思いますので、実際は260~280点前後で推移すると考えられます。

 そして筆者は、実際に合格して働いている職員数名に、最終合格点数を聞いてみました。皆さん、自分が何位ぐらいだったかは覚えていても、何点取ったかというのはあまり覚えていなかったため、情報集めに苦労しました(笑)

 その結果が次のとおりです。点数と順位はあくまで本人の記憶を元にした自主申告なので、ご了承下さい。

※若手都庁職員5名の点数・順位

  • A氏(上で解説した職員、2回目受験の合格時):610点台(100位台半ば)
  • B氏:650点台(2桁台半ば)
  • C氏:630点台(2桁後半)
  • D氏:570点台(300位程度)
  • E氏:550点台(400位程度)

 この5名は、すべて過去3年以内の同一年度の合格者・入都者です。この年度の最終合格者数は、400~450人の間でした。(つまり平成29年度か、30年度のどちらかです)

 ここから、この年度の最終合格点は、540点程度なのではないかと推測されます。合格者のボリュームゾーンは、570点~620点あたりでしょう。

3-4 面接試験の配点

 この最終合格点数から、面接試験の配点を逆算していきます。

 一次試験の合格点は280点前後、最終合格点が540点前後だとすると、都庁にギリギリで合格するには、面接試験で260点程度を取る必要があります。そして、上で述べたとおり、採用試験の合格点はおよそ6割程度に設定していると考えられること・面接の比重が筆記に比べて低いことは想定し辛いことを踏まえると、都庁採用試験の配点は次のようになるのではないでしょうか。

  • 一次試験:450点
  • 二次試験:450点
  • 合計:900点

 一次試験の合格者・不合格者の反応や、実際の職員の点数から考えて、妥当な数字だと思います。

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4 まとめ

 以上、実際のデータから、都庁採用試験の配点と、合格点を予測してみました。

 改めて見てみると、都庁採用試験において面接試験が極めて大きいウェイトを占めていることがわかります。都庁採用試験では、専門試験が記述式という独特な形式を取っているため、都庁受験生の意識はどうしても専門記述に集中しがちです。しかし、専門記述試験の配点が合計150点程度であることが推測されるのに対し、面接試験は450点です。専門記述試験の3倍の得点です。

 筆記試験を突破しない限り面接試験を受けることすらできないので、専門記述試験を必死に勉強することは不可欠です。しかし、筆記試験を突破したら、専門記述試験にかける情熱を(むしろそれ以上の情熱を)、面接対策に注いだ方がよいでしょう。筆記試験が終わると、どうしても気が抜けてしまいますが(筆者もそうでした)、面接試験は気を抜かずに全力で取り組むべきです。

 筆記試験がギリギリ合格の点数だったとしても、面接対策をしっかり行っていれば、最終合格をかなり上位で突破することも夢ではありません。

※ただし、最終順位と入都後の配属先には相関性がありません。

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